取材コラム 第39回:浜田雄介氏

帝人株式会社 ヘルスケア新事業部門 浜田雄介氏

「膣内フローラをご存知ですか?」
帝人株式会社 ヘルスケア新事業部門 浜田雄介氏に聞く

「帝人」と言えば繊維の会社というイメージだが、2016年から「食物繊維」に着目して、ヘルスケア事業の展開にも力を入れている。予防・未病をテーマに“腸活”を掲げて、プレバイオティクス関連の商品を市場に出してきた。そして2021年、プロバイオティクスの商品として、膣内フローラを整える乳酸菌「UREX」の販売を開始。まだ耳慣れない「膣内フローラ」について、そして「UREX」について、ヘルスケア新事業部門の機能性食品素材事業推進班の浜田雄介氏にお話を伺った。


「ヘルスケアを目的に食品事業へ参入したのは2016年ですが、わが社は繊維会社なので、食物繊維のスーパー大麦による”腸活”を提案しようということでスタートしました」

2年後、大麦に続いて、3種類の食物繊維を含んでいる「水溶性食物繊維のイヌリン」を商品化。現在、ヨーグルトなど、さまざまな機能性表示食品に利用されているという。

「こうしたプレバイオティクスの商品開発に加えて、乳酸菌・ビフィズス菌などのプロバイオティクスにも着目し、なかでも女性の健康を目的にしたプロバイオティクスとして『乳酸菌UREX』を製品化したのが、最近のトピックスですね」

「乳酸菌UREX」とは、健康な女性の膣内から見い出された乳酸菌で、膣内環境を良好にするデリケートゾーン専用の乳酸菌だ。

「近年、女性のデリケートゾーンにも膣内フローラがあるということがわかり、当社では、女性の悩みにフォーカスしたヘルスケアの新たな素材として取り組みを始めました」

産婦人科医の監修の下、女性のカラダとデリケートゾーンに関するアンケート調査を行い、どのような不調や悩みがあるか、また、どのようなケアをしているかという質問に対し、約300名からの回答を得た。

「調査結果を見ると、ストレスや季節の変わり目によるデリケートゾーンの不調を感じる人が多いということと、不調を感じても、その半数以上の人が何も対処できていないということがわかりました。最近は、フェムテックやフェムケアという言葉も一般に広がり、意識は高くなっていますが、具体的な対処法はまだ認識されていないようです」

機能性成分「UREX」は、経口摂取で膣まで届くということが確認されているという。腸内の乳酸菌とはまた違ったその有用性を活かして、女性向けのサプリメント「melite(ミライト)」のラインナップに加えられた。

「一般の方にも、まだ学術の世界でも、今後さらに膣内フローラという言葉を広げていきたいですね」

ジャーナリスト 後藤典子

浜田氏の取材動画はこちら

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