取材コラム 第14回:真野博氏

真野博氏

「捨てられる食品の中から、お宝を探そう!」
城西大学薬学部医療栄養学科 教授 真野博に聞く

科学技術や研究の深化によって、ものの評価が変わることはままある。栄養学の分野でも、たとえば食物繊維やコラーゲンは、その評価を大きく変えたものの代表だろう。栄養素としてほとんど役に立たないと言われてきたこれらの物質は、いまや誰もがその価値を認める”健康素材”として、人気を博している。長年、コラーゲンを探求してきた真野博氏に、その研究の成果を伺った。


「僕が学生の頃は、コラーゲンなんて食べても吸収されないので無駄だ、と言われていたんですよ。それが今では180度変わってしまった。僕はコラーゲンを7番目の栄養素にしたいと思っています」

コラーゲンは皮膚や骨、軟骨に多く、体内で最大量のタンパク質だが、これまでゼリーの凝固剤や薬剤のカプセルなど、おもに食品添加物として利用されてきた。そんなコラーゲンに、研究者たちが注目し始めたのは、21世紀に入ってからだという。

「2005年ごろですが、アミノ酸が2個配列したコラーゲンジペプチドが、肌や骨の細胞を活性化するという分子メカニズムがわかってきたのです」
分子作用機構が明らかになるにつれ、皮膚や骨ばかりではなく、筋肉や脂肪にも大いに関与すると考えられるようになった。とくに、脂肪を燃焼して熱を発生する褐色脂肪細胞に作用することで、美容の大敵セルライトを減らす働きがあるといわれている。

またコラーゲンは、一般的なプロテイン(ミルクプロテイン)に比べて太らないため、マラソン選手などの筋肉づくりにも有用だという。

「わが大学の男子駅伝部の選手たちは、皆、食事の時にコラーゲンの原末を味噌汁に入れて摂っていますよ。そのおかげかどうか、毎年、出場校として活躍するようになりました。筋肉や腱、骨や軟骨など、アスリートにとって重要なこれらの部位を支える大切な栄養素ですから」

もちろんコラーゲンは、一般の食品からも摂取できる。豚足や手羽先、軟骨、牛スジなど、また海の食品では、スッポンやフカヒレ、うなぎ、あわびなどに豊富だ。が、どれも日常的な食材ではなく、また、コラーゲン豊富な食品には高カロリーのものが多い。どちらかと言えば、サプリメントで摂るのが賢明だろう。

真野氏のラボでは、地域農産物である柚子の皮やタネを利用した「タネまで柚子らん」という加工食品の開発も行った。ノミリンという成分に、骨を強くする機能性があるという。

「私たちのラボのモットーは、捨てられてしまうモノからお宝を探そう!なんです。廃棄される食品の有効利用で健康に寄与できるなら、研究の甲斐があるというものです」

ジャーナリスト 後藤典子

真野氏の取材動画はこちら

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