取材コラム 第34回:西山千香子氏

『リンネル』『大人のおしゃれ手帖』編集長 西山千香子氏

「宝島社が総力を挙げて取り組む新潮流『ハローフェムテック』」
宝島社『リンネル』『大人のおしゃれ手帖』編集長 西山千香子氏に聞く

宝島社ではフェムテック啓発プロジェクトとして、10代から60代まで各世代の女性誌11誌と男性誌2誌の計13誌による合同プロジェクト「もっと話そう! ハローフェムテック」を昨年12月25日に始動した。ファッション雑誌販売部数11年連続トップシェアを誇る宝島社がこのプロジェクトを始めたのはなぜ?読者の関心は?などを、『リンネル』と『大人のおしゃれ手帖』の西山千香子編集長に伺った。


「このプロジェクト発動の背景としては、宝島社の雑誌カルチャーがあります。これまで常に、社会に新しい価値観や女性像を提案してきたという歴史があり、たとえば”大人可愛い”とか”40代大人女子”、”暮らし系”といった新しいジャンルや市場を開拓してきたと評価されていますが、こうした企業風土が今回の啓発プロジェクトを動かしたと思っています」

新しいライフスタイルを雑誌から創っていこうという意識を共有して、さまざまな世代の読者を持つ13誌が横断的に取り組むことで、昨年の「新語・流行語大賞」にノミネートされた「フェムテック」を、さらに大きな潮流にしようということだ。掲げているスローガンは「もっと話そう!Hello Femtech」。

「その思いは、世代を超えて、性別を超えてもっと気軽に話せるテーマにしようということです。たとえば私がたずさわっている30~40代の『リンネル』と50代の『大人のおしゃれ手帖』の異なる世代の読者同士のセッションを行うことで、世代を超えたやり取りができればいいなと企画を進めたりしています」

プロジェクト始動に先立ち、10~70代の読者2230名にフェムテックに関するアンケート調査を行った。フェムテックという言葉を知っているか、という問いに、知っていると答えたのは8.7%と低かったが、その意味を説明した後、興味を持ったかと聞いたら82%が興味があると回答している。経産省の調査では、2025年のフェムテック経済効果は約2兆円で、今後女性の暮らし方や働き方にポジティブな影響を与えるだろうと言われている。

「これまであまり口にしてこなかった生理や更年期の悩みをオープンにすることで、世代に応じたいろいろな解決策が出てきて、情報交換されればいいなと思っています」

13誌の中には、60代に向けたファッション誌『素敵なあの人』や男性誌『MonoMax』なども参画している。50代以上の女性に向けての「エイジドフェムテック」では、おもにGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)をテーマにしており、グッズも開発されている。また男性向けには、女性の心身への理解とともに、男性の不妊治療などの情報提供にも取り組んでいるという。

ジャーナリスト 後藤典子

西山氏の取材動画はこちら

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