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取材コラム 第10回:進藤和澄氏
- 2021/1/21
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「コロナ感染も、未病も、自分で守るための方法を提案し続ける」
神奈川県 ヘルスケア・ニューフロンティア推進統括官 進藤 和澄氏に聞く
日本は、世界でも類を見ないスピードで高齢社会に突き進んでいるが、その中でも全国屈指のスピードで超高齢化が進む神奈川県。この急激な社会変化を乗り越え、健康長寿をかなえるために、独自の政策を打ち出している。それが「ヘルスケア・ニューフロンティア政策」だ。「未病」を主軸に展開するこの政策について、推進統括官の進藤和澄氏にお話を伺った。
「医療の現場では、当然のことですが、健康か病気か、で二分して治療の必要性の有無を判断するのですが、実際のところ、個々人にとっては、病気ではないが体調が悪いというあいまいな状態にある人が多いのです。この状態を『未病』と呼び、自分の未病状態を日常生活の中でチェックして改善に取り組んでいくことが、健康長寿の要だと考えています」
県では、「未病」の認識を広め、これを主体的に改善できるようになる取り組みとして「ヘルスケア・ニューフロンティア政策」を展開している。その柱になるのが、「食」「運動」「社会参加」という3つのテーマだ。
「コロナ禍の現状にあってはなかなか難しいことですが、食がもたらす会話や交流も含めて、人とのコミュニケーションや社会との関わりがメンタルに及ぼす効果を評価し、社会参加を提唱しています」
そしてこの3つの要素を、自身の生活スタイルにどのように取り入れるかをわかりやすく示すため、この分野で活躍している女性を「ME-BYOスタイルアンバサダー」として委嘱し、県民への情報発信を行っている。また、「未病状態」を自身で把握し、判断するためのツールとして「マイME-BYOカルテ」や「未病指標」も開発した。
「未病状態を”見える化”するために、生活習慣、認知機能、運動機能、メンタルヘルスの4つの分野でセルフチェックして、数値を出せるようにしたのです。たとえばその一つに、メンタルヘルスを声でチェックする『ミモシス』というアプリがあります。見えにくいストレス状態を、声によって数値化したモニタリングシステムです」
未病産業を担う企業を支援するため、優れた商品やサービスを「ME-BYO BRAND」として認定しているが、「ミモシス」はその第1号認定商品だ。
ちなみに、県では未病を「ME-BYO」と表記しているが、これは英語圏で読めるようにという意図で、「未病」という概念を、その日本語とともに世界に発信しようという狙いだ。
また、こうした未病対策の一環でもあるが、県は平成28年度から理化学研究所と共同で、スマートアンプ法というウイルス検出法の開発を行ってきた。PCR法と同程度の精度で、検査スピードが速く、新型コロナの変異種にも対応できる。このウイルスの検出法を活用した持ち運びが容易なアタッシュケース型検査機器の開発を支援し、病院や港湾、空港などに持ち込めるようにしたことで、その場で約1時間という短時間で検査が可能だという。
「手間や時間をかけることなく、その場で検査が完了できれば、ウイルス蔓延を抑えるのに有効だと考えています。今後、各方面での導入が進むよう、ご案内していきたいと思っています」
ジャーナリスト 後藤典子